8月13日/豊かにする生活

昨晩から今朝にかけてとてもとても苦しく悲しい時間を過ごしたので、自分のご機嫌をとるために、手間をかけて、生活を少し、豊かにした。

おっきなチョコレートを乗せたスコーンを作った。
オーブンから流れ出してくる生地の香ばしい香りと、溶けたチョコレートの甘い香りがたまらなく心地よかった。
匂いを十分楽しんだあとに紅茶を入れて、そこにいちごの彩り豊かな香りを溶け込ませた。すると、胸の中の幸福度がきゅっと上がるのを感じた。
今日はロゼ ロワイヤルという紅茶を選んだ。ゴージャスで贅沢な名前で良い。

焼きあがったスコーンをかわいいお皿にこんもりと載せて、その隣には、琥珀色の液体が良く見える透明なカップを並べ、そして、綺麗な名前の詩集を手に取る。
スコーンを口に含み、甘さをたんと味わった後、華やかな液体で喉を潤す。その余韻を味わいながら、目で美しい日本語を堪能する。
至福のひとときである。

今日読んだのは、江國香織さんの『すみれの花の砂糖づけ』。甘美なタイトルにならうように、どの詩も甘く密やかで素敵だった。
美しい日本語を吸収すると、脳から体が創り変わっていくような心地がして、とても、気持ちが良い。

8時間前ほどまでの苦しい時間が嘘だったかのように、今、気持ちは晴れやかである。
こうして少しずつ、生活を豊かにしていきたい。
勿論、そうした手間もかけられないほど苦しい時もあるけれど、少しでも力があるときは事を良い方に運べるような行動に出たい。
そうして動くことが、きっと私の生きていく意味につながっていくと思う。

8/13 〆